国会で SPEEDI が取り上げられたそうです。

SPEEDI:班目氏「避難に使えぬ」…国会事故調 -- 毎日jp
http://mainichi.jp/select/today/news/20120216k0000m010116000c.html


本文中、こと SPEEDI については、班目さんはもっともなことをおっしゃっているだけですが、まあいろいろな感想を持つ方々がいて、私もちょっと書きたくなりました。もう何度も似たようなことを書いていますが、またもや。


そもそも放射性物質の拡散のシミュレーションを "信じて" 避難の参考にしようなんていうのは愚の骨頂です。原発事故直後の避難指示については「結果的に成功」だったと私はかんがえます。円形の避難区域設定でうまくいったのではないでしょうか。


原発が吹っ飛んでから数日の間の、一般の方々の被曝量を、たとえば 20 mSv 以下に抑えることが出来ました。 *1 福島事故以前の目標はその程度だったはずで、今回の避難指示はその目標を達成した。だから、結果的に成功。 *2


避難に SPEEDI を用いないのは失敗だった!という批判は、ちょっと承服しがたいですね。安全委員会が SPEEDI を使わなかったのも問題だとは思わないし *3、避難に「使えない」代物を作った SPEEDI の開発者も問題だとは思わない。


SPEEDI の最大の問題点は、お金がかかりすぎていること。これにつきると思います。SPEEDI は避難に使う名目で多大な予算が付いていたのだろうな、と思うと、ある種、詐欺的なにおいを感じますね。


このあたり、だれかに検証してほしい。


実際には「詐欺」はなかったと思っています。たぶん、開発の予算要求の際に、「避難に使える!」という文言が入っていた。予算を取るために夢を語ったわけで、だまそうとしたわけではない。でも、その「避難」がなんとなく安全指針の中にも入ってしまった。SPEEDI に予算を付ける側もこのあたりを詳しく精査せず、「アメリカでも似たようなことをやっているし…」みたいないい加減さで有り余る原子力マネーから適当に予算を付けた。


そして、原発が吹き飛んで今回の混乱につながった…


そんな、「平和ボケ」な顛末だったと想像します。


今回の避難指示を失敗だと評するのは簡単ですが、それではどうすべきだったかを考えるのは、「平和ボケ」だった (私を含めた) 多数の日本人にとっては意外に難しいと思いますよ。

*1:最高に被曝された人 (原発の作業員を除く) はどのくらいだったのですかね?20 mSv より大幅に小さいと想像します。

*2:まあ、人々の恐怖を考えると成功と認めるのは政治的には難しいでしょうが。

*3:とはいえ、参考にはしたと思うんですよ。それは正しい使い方