どうも、私、自滅しつつあるそうです www

SSFS さんに取り上げて頂きました。


クライメイトゲート事件の最新事情(181) -- マイナスイオン監視室
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1835549&tid=a1va5dea5a4a5ja59a5a4a5aaa5sa1w4fbbkbcbc&sid=1835549&mid=4398

★自滅中のブログ


「なんか、気候モデル、かなり買いかぶられているような気が…」
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20110831/1314783684
気候モデルは実験をしようとしない脅威派の唯一の武器。不完全なモデルによるあいまいなシミュレーション結果だけで世界の政治・経済・産業・国民生活を牛耳ろうとしているのですから、ブログ主の認識は完璧に間違っています。


「もう一つ、スベンスマルク説って難しいなと」
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20110901/1314888749
ブログ主はかつてスベンスマルク説を揶揄しまくりましたが、高エネルギー物理学の聖地CERNで行われた9カ国による共同研究が脅威派の牙城ネイチャーに掲載されたいま、揶揄パワーはすっかり影をひそめてしまいました。


まあ、このブログが滅びようがどうなろうがだれにも迷惑かけないのでよいのですが、いずれにせよ、おかげさまで訪問して下さる方が増えました。ありがたいことです。


でも、今日の本題は、SSFS さん記事の別の部分。


★nomurahdsさんのツイッターから


・『地球温暖化は今や海面下降の原因、気候変動を通じて』地球温暖化により海面が上昇すると警告されてきた。しかし、最近のNASAの衛星による観測では昨年海面は6mm下降した。寒冷化したら温暖化による気候変動が原因ということに?


http://notrickszone.com/2011/08/31/der-spiegel-global-warming-now-causes-sea-level-drop-through-weather-shifts/


なんと、海面高度が下がった !!! 地球は寒冷化しているのか ???


実際、NASA がたしかに海面高度の低下を報告しているのです。


NASA Satellites Detect Pothole on Road to Higher Seas -- JPL/NASA
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2011-262


こちらの図を見てください。

(http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2011-262 より)


赤線が観測された地球全体の海面高度の平均。青い直線は、平均的な海面高度の上昇を示しています。おおお、昨年は急激に海面高度が下がってますねぇ。なかなか印象的です。


海面高度が下がり始めた?地球温暖化は止まった!


SSFS さんは、ピーンと来てしまったのでしょうが、まあ、そうではない。


昨年、エルニーニョがおわり、ラニーニャに変わりました。そのせいで、オーストラリアとアマゾンに大量の雨が降ったのです。昨年、オーストラリアの洪水のニュースを見ませんでしたか???


そのせいで陸地がびしょびしょになりました。その水はどこから?海から蒸発した水が雨として降ったのです。


そうです。海の水が減って、陸がびしょびしょになっている。NASA の海面高度の結果は、それを表しているのです。


え、なんでそんなことがわかるのか?証拠でもあるのか?ですって?


それが、実はあるんです。衛星観測で地表に含まれている水の量がわかるんです。同じページから、2011 年の春、陸上の水が、1 年前と比べてどれだけ増えたか、という観測結果の図:



(http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2011-262 より)


赤いところは去年より乾いているところ。青いところは去年より水の量が増えたところ。単位は、水の量に直したときの、水の深さ (m) です。南米やオーストラリアでは、5 cm 以上の深さに相当する水が増えたことになりますね。


これ、どうやってはかったのか?


Grace と呼ばれる衛星が地球を回っています。双子の衛星で、少し離れたところを並んで飛んでおり、お互いの間の距離を精密に測っています。


そんなことして何がわかるのか?お互いの軌道が精密にわかります。軌道は地球の重力場で決まり、重力場は地球上の質量の分布でわかる。でも、固体はそれほど動きません。*1 重力場を変えるほど動くのは、水なのです。


現に、たとえばエルニーニョによって、海の温度だけではなく海面高度も変化するのですが、それは観測されています。数センチの海面高度の変化はばっちり捉えられるわけです。


陸上に、水の層に直して数 cm 分の水が移動することだって、わかる。


図をもう一度、見てみましょう。地球全体で、変化がありますねぇ。そして、ごらんのように、オーストラリアと南米に真っ青なところ、つまり、水分が増えているところがある。


そんなことが衛星観測からわかるんですねぇ。いやぁ、技術の進歩はすごい。


さて、海面高度はこのあとどうなるのか???


But for those who might argue that these data show us entering a long-term period of decline in global sea level, Willis cautions that sea level drops such as this one cannot last, and over the long-run, the trend remains solidly up. Water flows downhill, and the extra rain will eventually find its way back to the sea. When it does, global sea level will rise again.

(onkimo 適当訳)

海面高度が下がり続ける期間に入った!と言いたくなってしまう人たちのために、Willis は注意を促しています。今回のような海面高度の低下は長続きしません!長い目で見ると海面高度は上昇するんです!水は山を下りて、最後には海に還ります。そして、海面は上がり続けるんです!!!


ということで、陸上に雨が降ったためと、すでに原因のわかっている海面高度の低下を、わざわざ「寒冷化だよ!」と報告してくれる SSFS さん、お茶目ですね。あえてそんなトピックを選択する、そのマイナスイオン脳に脱帽です。


一応ソースを確認する習慣があれば気づいたと思うんだけどな。


それにしても、一度 Grace について詳しいこと書いてみたいな。地球の重力を調べる衛星が、なんで気候の観測に使われているのか、意外でおもしろいと思います。

*1:それでも、東日本大震災のような時は動いていて、それは Grace で検出されていると思いますが