なんか、気候モデル、かなり買いかぶられているような気が…

まあ、だからなんだということはないけど、ちょっとメモしておきたくなったので。


不都合な真実:温暖化の原因は二酸化炭素ではない -- seetell.jp
http://seetell.jp/18595

気候モデルは見直さなければならないだろうと、CERNは補助文献の中で認めている(PDF )。


「全ての気候モデルは、核生成がこういった蒸気(硫酸とアンモニア)と水だけで引き起こされると仮定しているため、エアロゾル粒子生成の取り扱いは、大幅に見直さなければならないだろう」


PDF からリンクされている記事
Supporting information to press briefing on Nature publication, Kirkby et al., “Role of sulphuric acid, ammonia and galactic cosmic rays in atmospheric aerosol nucleation”, DOI 10.1038/nature10343 -- CERN
http://press.web.cern.ch/press/PressReleases/Releases2011/downloads/CLOUD_SI_press-briefing_29JUL11.pdf

Based on the first results from CLOUD it is clear that the treatment of aerosol formation in climate models will need to be substantially revised since all models assume that nucleation is caused by these vapours and water alone.


えっと、「気候モデルは見直さなければならないだろう」というのはびみょー。


CERN の文書は、見直すべきは「気候モデル中のエアロゾルの取り扱い」と述べている。いや、たしかにそれは「気候モデル」の見直しには違いないんだけどね。


そもそも、エアロゾルの成因が結果に影響するような精密な気候モデルって、IPCC に提出されている温暖化予測モデルの中でどのくらいあるのだろうか。エアロゾルの生成、消滅、輸送をきちんと解いているやつなんて、なさそう。


宇宙線があろうがなかろうが、今の地球では、水蒸気がちょっと過飽和になったら雲になる。雲の気候システムにおける役割の中で、力学や水の循環に関わる部分は、この取り扱いでそんなに問題がない。問題がないので、そんなに精密化に対する努力が払われてこなかった。


問題になるとすれば放射に関するところ。雲粒の粒径とかが関わってくる。で、放射コードの方はよく知らないけど、こちらも宇宙線を考慮してエアロゾルの分布、性質を変えられるような精密な放射モデルを使っているとは思えないけどなぁ。多分、観測に基づいた経験的なエアロゾルの性質を使っていると思う。計算して導びけるほど理論は成熟していない。


あと、雨の降り方かな。でも、こちらもそんなに精密だとはおもえないけどね。


いずれにせよ、気候モデルは発展途上で見直さなければならないところはいっぱいある。放射線の影響を取り入れられるような精密さは、たぶん今のモデルにはない。この程度の効果は他の不確定性の中に埋もれてしまいそう。


もし、宇宙線の影響がある温暖化予測モデルがあったとしたら、なんかバランス悪いな、とおもう。F1 のエンジンを積んだ原チャリみたいなバランスの悪さ。


思っているほど精密なものではないんですよ、皆さんの未来を予言している気候モデルというものは。今のところ、ね。それでも全体としてはまあまあ受け入れられる性能を出しているところがポイント。


まあ、CERN もわかっていると思うけどね。言っていることは嘘ではないし、IPCC の将来予測にインパクトありそうな感じを醸し出さないと、重要だと思ってもらえないからね。