NHK スペシャル、シリーズ原発危機の

第一回を見ました。


いやぁ、やっぱり民放の番組とは違いますねぇ。放送に十分な時間を取ってきちんと時系列を追い、真実に迫ろうとする番組は、落ち着いて見ることができます。


いや、決して落ち着いて見ることはできませんでした。十分に衝撃的だったので。


本当に衝撃的なことを伝える場合には、ただ事実を淡々と伝えればいいのです。もちろん、NHK スペシャルのやり方がすべて正しいわけでもないでしょう。でも、底の浅い政府批判をやいのやいの繰り返す番組よりも、事故のことがよく分かりました。


また、私がウェブでは見つけられなかった情報もありました。そして、多数の当事者へのインタビュー。twitter や blog からは出てこないし、フリージャーナリストなら人によってはできるかもしれませんが、原発事故から三ヶ月以内、いまだ収束していない、という状況では難しいでしょう。さすがマスメディアの取材力と思いました。マスメディアとはいえ、民放の番組から今回の原発事故の件で取材力を感じたことはありませんが。


さて、この番組でも SPEEDI がちらっと取り上げられていました。*1


一号機の水素爆発の後、原発近くに住んでいた住民は、原発から北西に逃げるように助言がなされたようです。放送では、原発の北、海岸沿いの住人が、内陸、原発の北西方向に逃げた経路が地図上に表示されました。


ところが、実際には北西方向は放射性物質が飛んでいった方向だった。さらに、SPEEDI もそのように予測していた。情報伝達の遅れが被曝を招いた、と批判されています。


これ、よくわからないんですよねぇ。NHK スペシャルでは北西に放射性物質が流れるシミュレーション結果を見せていたのですが、私の見る限り、SPEEDI の結果は、原発から北の方、海岸沿いに流れているように見えます。こちら、

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の計算結果について -- 原子力災害対策本部事務局(原子力安全・保安院)
http://www.nisa.meti.go.jp/earthquake/speedi/erc/speedi_erc_index.html

の、19, 21-25 あたりが 1 号機の水素爆発の影響評価です。これを見ると、SPEEDI の結果によれば、北西の方向に逃げるのは間違いではなさそう。


北西の方に逃げるべき、というのは一号機の水蒸気爆発においては間違っていなかったのではないでしょうか。北西に流れたのは、2 号機の圧力抑制室の破損に伴って出てきた放射性物質だったはず。


北西に逃げたら放射物質を浴びたのは結果的には事実だけど、それを 1 号機の水蒸気爆発と、それに関する SPEEDI の予測と絡めるのは変だと思います。


違うかな?


本当はなにがあったのでしょうね。


SPEEDI の結果は公開すべきでなかったという私の意見、NHK に説得されてしまいそうになりましたが、今のところ、変わっていません。

*1:いえ、SPEEDI とは言われていなかったのですが、まあ SPEEDI に違いありません。