IPCC 参考文献中に査読されていない論文が

多数含まれていた件について三度にわたって見て参りました。


続きです。IPCC の報告書に
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100611/1276261080
IPCC の報告書に大量の
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100609/1276073314
武田邦彦さんがまた
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100608/1276010507


見てきておもったこと。


○頭を使わないで IPCC レポートを批判する方法


IPCC レポートは、地球の温暖化に関することについて、第一作業部会では自然科学的根拠、第二作業部会では影響、適応、脆弱性、第三作業部会では緩和策と、人類活動で関連する幅広い話題について、現在の人類の知識をまとめたものになっています。


これを批判するには、本来、書いてあることの間違いを探して指摘し、反論を書く必要があるわけです。


でも、これって面倒くさい。多くの人にはそもそも書いてあることが理解できない。いや、きちんと勉強すれば誰でも理解できるのですが、文章を三分間斜め読みしただけでの、脳みそを 1 % 程度しか使わない方法では理解できないわけです。


それではどうやって批判すればよいのか?


形式的なことを批判するのが簡単でしょう。今回の「査読されているか否か」などは、まさにその最たるもの。


noconsensus.org は一般の市民による活動だと言うことを強調していました。裏を返せば、専門的な、IPCC レポートの内容を理解していない人と言うことでしょう。査読されていない論文の割合というのは、そんな人たちでも調べられることなのです。


一方で、批判を読む側も、何も考えないで理解することができる。CO2 による温暖化のメカニズムが理解できない人でも、数を数えることはできるのです。


まじめな反論よりも、より多くの人にとどく批判。それこそ、武田邦彦さんでも理解できる批判。


とはいえ、わかる人にはわかります。脳みそを使っていないが故に、これが大して意味のない批判だということが。


大手マスコミは報じていないように見えます。例外は foxnews ですが。


FOXNews.com - Last in Class: Critics Give U.N. Climate Researchers an 'F'
http://www.foxnews.com/scitech/2010/04/19/united-nations-climate-global-warming-ipcc/


foxnews がどんな報道機関かということをご存知の方には、もうあまり説明する必要は無いでしょう。逆に、foxnews だけが取り上げたと言うことで、この批判がどんなものかがわかるわけです。


問題になったヒマラヤの氷河の件が、査読されていない論文から生じていたのは事実です。ですから、そのような論文が諸悪の根源というイメージを利用することは頭を使わない人たちに対しては大変有効な批判なわけです。


ですが、実際に詳しく検討してみると、査読論文であるかないかはそんなに重要な問題ではないことがわかります。それより大事なのは、個々の論文の質なのです。


とはいえ、頭を使わずに批判したい人は多い。


渡辺正さんは、そのような人に向けてこの批判を紹介されたのではないでしょうか。それに食いついたのが武田邦彦さんであったということが、今回の件を象徴しているように思います。


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