今度は毎日新聞が例の

学術会議主催のシンポについて社説を発表しています。


finalvent さんのブログで知りました。


毎日新聞社説 社説:温暖化疑惑事件 科学者はもっと発信を - 毎日jp(毎日新聞) -- finalvent の日記
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20100517/1274053778


で、何か書こうと思ったら、すでに一番言いたいことは t0m0_tomo さんに先に、しかも私が書くよりわかりやすく書かれてしまいましたので、そちらをお読みください。


[気候変動]毎日新聞社説:温暖化疑惑事件 -- 雑多な覚え書き
http://d.hatena.ne.jp/t0m0_tomo/20100517/1274065013


仕方がないので二番目に言いたいことを。


finalvent さんは、毎日新聞の社説について、

これもわけのわかんない社説だな。なぜ今、そしてなにが言いたい?

と書かれています。


まあ、温暖化の科学についてはともかく、マスコミの生態については finalvent さんの知識の足下にもおよばない私が独断で書いてしまいますが、毎日新聞がこの社説を書いた理由、それは、


日本学術会議のお墨付きが出たから


にちがいありません。


マスコミの人たちは頭が良いので、地球温暖化問題についても、それがつぶれた場合に保険を掛けておく必要を感じているのだと思います。ですから、海外で報道されている climategate 事件をずっと横目でにらんでいたのではないでしょうか。


そして、学術会議のシンポが行われた。科学者達が IPCC の批判をしている。だから、これ幸いと社説で取り上げた。毎日の他にも、climategate 事件については私の知る限りでは産経、読売が扱っています。産経はちょっとよくわからないけど、読売は毎日と同様シンポに絡めて科学者達を批判していました (シンポ以前にも climategate を扱ってはいましたが)。私が知らないだけで、他紙も批判しているのかもしれません。


毎日新聞の人たちは、自分たちだけでは IPCC を批判する自信がなかったのでしょう。だから、学術会議のシンポを受けて、押っ取り刀で社説を書いている。


これ、科学部がしっかりしていれば、自信を持ってスルーできる話題ではあると思います。まあ、でもここまで取り上げられていると完全スルーも難しいかな。


この先、各紙の報道がどうなるのか、気にしておきたいと思います。各紙科学部の実力が、そして、その新聞の科学リテラシーが出るのだろうなと思います。


温暖化の科学や IPCC の言うことを理解しつつ批判できるか、政治部などが温暖化の科学に疑問を示したときに科学部ががんばれるのか、懐疑論を採用するなら、どの懐疑論者を取り上げるか?


どの懐疑論者を取り上げるかについては、各紙の科学リテラシーが試されて、なかなか興味深いところですね。これに関して、5 大懐疑論者について私が勝手に順位をつけておくと、武田さん、槌田さん、丸山さん、赤祖父さん、伊藤さんになると思います。どちらを採用するのがリテラシーが高いのかは聞かないでください


ちなみに、産経は (新聞紙面ではありませんが) 武田さんを取り上げていました。中で取り上げられていた武田さんのご本は産経新聞が出版しています。お目が高い。


「温暖化基本法」疑問続々 「日本の成長止まる」 中部大・武田教授が指摘 -- SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100323/mca1003231236009-n1.htm


これまで、私は、マスメディアが地球温暖化問題を、その重要性以上に取り扱っている気がしていました。基本的には悪いことではないと思うのですが、副作用として低レベルの温暖化論も広く出回っていたと思います。


今回の一連の出来事は、温暖化対策側に振れていた振り子が揺り戻す、その始まりなのかなと思っています。そして、数年周期でなんども振れるのだろうなと。


しばらく、温暖化論にはつらい時代が続くのかもしれません。まあ、その過程で低レベルの温暖化論も淘汰されるとおもうので、かならずしもわるいことばかりではないでしょう。


科学者側は、IPCC の結論から大幅にはずれた見解を示すことはないでしょう。いえ、別に圧力がかかっているわけではなく、気候学においては、心にもないことを言ったりウソをでっち上げたりするのはかなり大変だからです。


だから、振り子は常に温暖化対策側への引力を受けつつ振れることになると思います。


そして、いつか落ち着くべきところに落ち着くでしょう。


落ち着いた場所が、人類の将来のためになるような場所でありますよう、心から願っています。