kikulog を拝見しています。
例の「温暖化懐疑論批判」についての記事にコメントがついて、たいへん盛り上がっています。
「地球温暖化懐疑論批判」
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1256740025
1000 を越えるコメントがついてしまい、菊池さんは新しい記事を立ち上げられました。
「地球温暖化懐疑論批判」(2)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1270268042
まだまだ熱気はおさまらなさそう。
わたしもこの「温暖化懐疑論批判」について記事を書いています。
この本は温暖化のことがわかっている人向けに
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20091125/1259159442
こちらの記事もちょっと関係あるかな
なぜだか古典に触れる
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100118/1263783949
さて、kikulog のコメント欄にはいろいろな方がいらっしゃるので、当然「地球温暖化懐疑論批判」批判がおこるわけです。たとえば、うひゃぃさんとおっしゃる方のコメント。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1270268042#CID1270456389
ここで取り上げられている「地球温暖化懐疑論批判」は、ものすごく中途半端な気がするのです。結局この本を読んでも信じる人は信じるし、信じない人は信じない。態度を決めかねてる人は疑問が深まるだけなのではないでしょうか。
まあおっしゃるとおりですね。ただ、中途半端と書かれていますが、私はそうは思いません。意義は大きいと思います。
うひゃいさんの批判をもう少し見てみましょう。
この本は、ある意味学者の方々が、それに答えたものと言えるのかもしれないのですが、議論の多くが、他の論文へのリファレンスを確認する必要があるものです。予算と時間に限りがある、またはそもそも手弁当でやってるなどの制約があるのでしょうから、著者の方々を非難することは、とてもできませんが、この本は一般人にとっては「聖書のページが増えた」のと同じくらいの効果しかないように思えます。
「聖書のページが増えた」の意味が今ひとつわからないのですが、あまり「地球温暖化懐疑論批判」意味を感じていらっしゃらないように感じられます。
私の意見は異なります。少なくとも、懐疑論に対する反論が存在することを主張したのは大きな意味があります。また、リファレンスがあれだけ集まっていることには大変意味があります。
さらに、懐疑論者への回答としての意味があります。IPCC 側の気候学者はこのような答えを出しました。さて、どのような反論をされますか? *1 と、ボールをあちらのコートに打ち返したのです。その価値は大きい。
確かに一般人に意味はないかも知れません。でも、意欲のある人には大きな意味があるのです。
IPCCのレポートすら、概要しか翻訳されていないことも含めて、政治(環境省?)の情報公開への姿勢に大変疑問を感じます。
これはある程度同意します 。私も全文翻訳はなされるべきだと思います。(追記も御覧ください)
ただ、もしレポートの全文翻訳がなされても、うひゃいさんは満足なさらなさそう。
なぜなら、IPCC レポートも、言ってみればリファレンス集だからです。レポートには判断が述べられていますが、判断を下した根拠はさらりとしか述べられていません。論文へのレファレンスがあるだけです。
IPCC レポート全文の日本語訳、意欲のある人には大きな意味があります。でも、うひゃいさんのおっしゃる一般人には意味はなさそうですね。
うひゃいさんの求めておられるものがこの世に存在しないのは多分確かです。ただ、求めておられるものが存在しうるか、という問題はある気がします。
どんな本が必要なのだろう…。<追記>"概要しか翻訳されていない"というのは、いささか誤解を招く表現だと思います。kikulog のコメント欄でも指摘されていますが、全文ではないもののある程度まとまった量が訳されています。
訳されているのは、政策決定者向け要約と、各報告書の FAQ です。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc/ar4/index.html
あと、政策決定者向け要約と技術要約が中央法規出版から出ています。
もちろん、うひゃぃさんがこれら全てに目を通していてなおかつ足りないと言っているのであれば、私としては言うことはありません。追記>
*1:まあ、その反論が訴訟だったりするのでずっこけることもあるわけですが…