いつもお元気武田邦彦さん、

今度は海氷のことをお話になっています。いえ、文字通りお話を吹き込んだ mp3 ファイルが置いてあるんですよ。


北極の氷 (簡単なメモ)-- 武田邦彦 (中部大学)
http://takedanet.com/2010/03/post_657d.html


見ていただくとわかりますが、北極の氷の絵を示していらっしゃいます。mp3 ファイルでは、NHK は北極の氷がなくなってシロクマが危ない、なんて言っていたけど、実際にはこんなにちゃんと氷が張っている、とのご主張。


2007 年に北極の氷が少なくなって大騒ぎになったことを念頭に置いているのだと思いますが、NHK は氷が「なくなった」なんてこと言ったかな?少なくなったとは言ったと思いますが。とはいえ、勘違いしたひとはいるのかもしれませんね。


mp3 の中での語り口は慎重で、温暖化した場合には北極が大きな影響を受けることを指摘するなど、正しいことも言っておられます。"正しいことも言う" と言うのが武田さんのもっともややこしい点なのですが、それはともかく、この mp3 ファイルの中で言っていることは、北極に氷が前面に張っているわけで、NHK を批判している論拠としてはそれなりにしっかりしている。


しっかりしているのか?


武田さんのページの氷の分布、多分、ブログが書かれた日かその近くのものでしょう。3 月 2 月のものなんですよ。つまり、冬の終わり、もっとも海氷が広がっているときのもの。たぶん、温暖化した未来の地球でも、冬の終わりぐらいは北極海は海氷に閉ざされるんじゃないでしょうかねぇ。(予測に付いては、調べていつか記事にしたいと思います。)<追記> 氷の図は二月のものでした。以下、修正しました


問題は、氷の張り出しは一番小さくなったとき。ちなみに、昨年 2009 年 9 月、夏の終わりで氷が一番小さくなったあたりの画像はこちら


2007 年、大騒ぎになったときの氷がこちら


いやー、今見てもどきどきします。回復しつつあるのは取り敢えず良いことですね。


なお、上の図は、下記の JAXA/IARC のページから持ってきました。あ、IARC は以前赤祖父さんが所長をしていたところです。蛇足。


AMSR-E 北極圏海氷モニター
http://www.ijis.iarc.uaf.edu/cgi-bin/seaice-monitor.cgi?lang=j


でもね、回復しつつあるとはいえ。長い間でみると、氷が小さくなっていく趨勢にはあるのです。こちらのページ

http://www.newint.org/features/2009/07/01/arctic-climate/

にある、夏の終わり、氷の張り出しが最小の時の分布が変化していく様子を示した画像を見てください。

http://www.newint.org/features/2009/07/01/424-09-sea-ice-extent.jpg


武田さんのお話を聞いて、この辺のことが把握できるかな?


それにしても、どうして 2 月の氷を見せるのでしょうか?冬も北極に氷が張っていないと勘違いしている人のため?そんな人、いるのかな?


ほんと、武田さんってなにがおっしゃりたいのか、私にはよくわかりません。


衛星データをみて「わあ、氷がいっぱい!北極、心配ないじゃん、NHK
大げさじゃん」と素直に思った、というのが正解かな。