Phil Jones の発言について気になっていたので、

ちょうどこれについて触れた記事が Nikkei Ecolomy に出ていたついでにメモ。


[求]予防原則は諸刃の剣−科学的知見が重要(10/03/19) -- 環話Q題 -- NIKKEI NET 日経Ecolomy
http://eco.nikkei.co.jp/column/kanwaqdai/article.aspx?id=MMECzh000018032010


では、冒頭に掲げた地球温暖化問題の実態は、どうなっているだろう。データねつ造の疑いが持たれたクライメートゲート事件の渦中にある英イーストアングリア大のフィル・ジョーンズ教授は「この15年間、統計的に有意なほど温暖化してはいない」と述べている。


本当はなんと言ったのかをググって調べてみました。


What Phil Jones really said about global warming -- midwest voices
http://voices.kansascity.com/node/7593


にコンパクトにまとまった記事が。source は BBC のインタビューだそうです。BBC のインタビューは、


Q&A: Professor Phil Jones -- BBC
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8511670.stm

B - Do you agree that from 1995 to the present there has been no statistically-significant global warming


Yes, but only just. I also calculated the trend for the period 1995 to 2009. This trend (0.12C per decade) is positive, but not significant at the 95% significance level. The positive trend is quite close to the significance level. Achieving statistical significance in scientific terms is much more likely for longer periods, and much less likely for shorter periods.


訳してみます。下手でごめん。


1995 年から今に至るまでの温暖化は統計的に有意ではないと認めますか?


まあ、認めるだけならね。1995 年から 2009 年の間の傾向を見てみると、10 年で 0.12 年上昇するだけのトレンドが見えるけど、95 %の信頼水準でみると、統計的に有意と言うにはちょっとだけ足りないんだ。長い期間で見ると有意さが上がるんだけど、短い期間では、信頼水準を満たすだけの有意差を得るのは難しいんだよ。


ということで、認めてはいるから、まあ池辺豊さんの言っていることはウソではないけど、ちょっとねぇ。Phil Jones は、温度は上がっていると言っているわけだから。


"データねつ造の疑いが持たれたクライメートゲート事件の渦中にある" という言葉を Phil Jones の紹介の枕詞に付けてこの言葉を引用するんだったら、もっと別な人が気温上昇について語っていることを紹介した方がずっと説得力があると考える方が自然だと思います。なぜ、あえて Phil Jones なのでしょう。


まあ、池辺さんの記事を読むときにも、江守さんの言葉を参考にすべきということなんでしょうね。

  • 内容の整合性に注意すること
  • 裏をとること
  • 書き手の中立性に注意すること