記事を書いている間に、いろいろと

妄想していたことがあるのです。今、スベンスマルク説についてまとめを書きつつあるのですが、書き忘れたなぁ。


妄想、それは、宇宙線がなくて雲のない地球はどのようなものになるのか、ということ。特に、水循環や大気の循環がどう変化するのかということ。


ブログ本体で書いてきたとおり、スベンスマルクは、地球が、そして太陽が若かりし頃、太陽風が強烈だったせいで地球に降り注ぐ銀河宇宙線が大変少なかった、との考えを述べています。


みんな大好きスベンスマルク (7) 何を言ったかスベンスマルク (下)
http://onkimo.blog95.fc2.com/blog-entry-77.html


すると、雲の核ができず、雲が大変少なくなって、太陽光が反射されずに地球に降り注ぐ。この効果が、暗い太陽のパラドクス (若い恒星は年老いた恒星に比べて暗い。それにもかかわらず、昔の地球は温暖だった、というパラドクス) を解決する、と彼は述べています。


ちょっと極端に、全く雲ができない、という状況を考えてみましょう。いえ、過飽和度が極端に高くなれば、全く雲の核がなくても、均一ニュークリエーションで凝結できるので (ここ、ちょっと自信なし)、ちょっとやり過ぎな仮定なのですが。


で、次の仮定をベースに想像 (妄想)

  1. 温度が高いほど飽和水蒸気圧が高い
  2. 空気中で水蒸気は凝結できない -> いくらでも過飽和になれる
  3. 海面 (海氷面)、地面に対して凝結/昇華可能。-> 海面近くでは空気はほぼ飽和状態 (過飽和ではない)、地表近くでは飽和かそれ以下。
  4. 現在と同じ地形だとする


空気中で凝結できないので、基本的に大気は飽和水蒸気圧に達していることでしょう。ただし、冷たいところから暖かいところに風が吹く場合はその限りではなさそう。でも、かなりじめじめするでしょうね。


日変化で凝結が起きるかな。夜になって地面が冷えて、そこで水が生じる。放射冷却で地面の方が冷たくなるはずなのに、潜熱のせいで空気が暖まって、今の地球にはないタイプの対流が起きそうですね。いや、おきないかな?上空の大気の過飽和度で決まるか。


おもしろいのは山の斜面でしょうか。過飽和の空気が斜面を登りながら水蒸気を凝結させ、凝結潜熱で暖まってさらに斜面を登っていく。高い山だと昇華で氷になるかも。氷がどんどんたまると氷河になるでしょう。チベットとかどうなるのかな?南極みたいに氷がどどーんとたまったりして。で、凝結潜熱のおかげで暖められた空気、山から煙突からの煙のように立ち上ることになるでしょう。


地球全体の循環に目を向けると、まず、熱帯収束帯で雲ができなくなります。赤道の海から潜熱が渡されるとは思いますが、その値は小さいでしょう。海にとってみれば、蒸発が起きにくくなって、熱が奪われにくくなるということ。だから、赤道の海は今より熱くなると思います。


赤道で空気が昇って中緯度で降りてくるハドレー循環は残るけど、凝結による加熱が減って弱くなるんじゃないかな?降りた先の亜熱帯高圧帯、いまは乾燥して砂漠が広がっているところだけど、降りてくる空気が湿っているので、凝結がおきて、かえって湿った場所になるでしょう。


潜熱による熱の輸送が少ないので、南北の温度傾度、つまり、北極と赤道の温度差は大きくなる。そのせいで、中緯度では傾圧不安定が発達し、いまより激しい低気圧ができそう。でも、台風はないと思うよ。


同じ理由でジェット気流も強くなりそう。地表の風も強くなって、海流も強化されそう。大気が熱を効率的に運べなくなった分、海流が熱を運ぶことになるかもしれません。


極は?どうなるんでしょうね。南極だと、つねに凝結が起きて、今と似たような様相でしょうか。北極は…。北極海では、海氷に凝結が起きるわけだけど、これだと水収支的には雪が降ってくるのと変わらないので、こちらもいまと変わらないかな。一方で、シベリアやカナダ北部に巨大氷河が発達するのかも。


ということで、見てみたいですね、そんな地球。住みたくはないけど。


結合モデルで雲を作らないようにして、地面に対する凝結過程を加えたらシミュレーションできるのかな?氷河とかはむりか…。


まあ、妄想なのでモデル動かすほどのことはありません。