次世代スパコンは

どうなるのでしょうか?温暖化予測の側からも期待されていた計算機だったのですが。


刷新会議、スパコンは大幅削減  「戦略練り直すべきだ」  - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111301000164.html


事業仕分け」でだめ出しをくらったとのこと。まあ、麻生前総理の言葉を借りると、公開処刑、というところでしょうか。


ちなみに、次世代スパコンとはこちらのこと


wikipedia:汎用京速計算機


47NEWS の記事によると、

財務省の担当官が冒頭「これまで545億円の国費を投入。システム開発に本格的に着手すれば、さらに700億円近くが必要と見込まれる」と問題点を指摘。仕分け人から「1位でなければ駄目なのか」「国民生活にどう役立つのかが分かりにくい」などの疑問が相次いだ。

だそうです。


この仕分け人たちに対して私が思うこと。
「1位でなければ駄目なのか」…一位でなければこのプロジェクトを国策でやる意味はない。国策を捨てる、というならそれはそれで良いが、その辺をわかった発言なのか?
「国民生活にどう役立つのかが分かりにくい」…そんなの 1 時間の持ち時間で説明できるわけはない。「分かりにくい」ではなく、すでに調べていて「意味はない」なら、私としては、特に言うことなし。


まあ、人の首を切るならそれなりの覚悟で臨んでもらわないと、切られた方は浮かばれない、ということですかね。もちろん、仕分け人の方の覚悟が文面から伝わってこないだけかもしれませんが。


この結果、私としてみれば残念ではあります。が、ただただ残念、というのともちょっと違って、なんと言っていいのか…。


まず、1000 億円を超える国費。スパコンに対しては前代未聞だと思います。基本的に私は科学技術の振興に金額の多寡を問題にするべきではないと思っています。必要なものにはちゃんと十分に出すべき。前代未聞だからと言って躊躇すべきでもない。でも、1000 億円となると、私には想像を超えたところがあって、なんと言っていいのか。


また、最近、こんなことが起きていました。


京速計算機」からNEC、日立が離脱 ベクトル・スカラー複合構成は困難に
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/15/news015.html


地球シミュレータを作った NEC が離脱、日立も離れ、富士通だけとなっていた、とのこと。ベンダー側の負担が大きかったらしいです。


民間からすると、あまりうまみのない仕事。応援団も減っていたのではないでしょうか。それでも 1000 億円。削りやすい予算ではあったと思います。


個人的には、何らかの形ですすめてほしい。でも、


仕分け作業グループは「一度立ち止まって戦略を練り直すべきだ」と指摘した。


と言われるのも仕方ないのかな、という気がしています。逆に、ベンダーの離脱で gdgd になったプロジェクトを、一旦停止させるきっかけになって良かったのかもしれませんし、そうなるようにプロジェクト側の人が動いたのかもしれません、って、それはうがちすぎか。


とはいえ、「立ち止まって」しまったら、二度と走り出せないのではないか、という気もしています。スパコン業界の中での日本の地位は、地球シミュレータを最後に、ずぶずぶと沈下しつつあります。アメリカに差をつけられ、そのうちにヨーロッパや中国からも完全において行かれてしまいそうな。たとえば、現在日本最速のスパコン地球シミュレータ 2 で理論ピーク性能 113 TFlops、一方で、10/30 日付けで、中国に 1 PFlops (= 1000 TFlops) を超える性能のスパコンが登場したそうです。実際の性能が出るかどうか、ちょっとふかし入っていると思いますが、でも、中国より遅れかけているのはているのは確か。


なんか、言いたいことのわからない記事ですが、私自身もわかっていません。ただ、前からかなり気になっていたプロジェクトなので、ついつい書いてしまいました。


京速計算機については、あのいつもお元気池田信夫さんが以前こんな痛烈な批判を書かれていました。


スパコン戦艦大和京速計算機」 -- 池田信夫 blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/7a0b5fd9f33ff6d2be7f8e8255b7007f


こういう見方もある、と言うことで示しておきます。同意するかどうかは別として、重要な論点は書いてあると思います。


まあ、でも、所詮は池田さんの書いたこと、読む分にはおもしろいのですが、いろいろと割り引いて考えないといけないですね。日本の計算機科学業界の第一人者の一人 (と言う紹介でいいのか?本業は違う方なのだけど) が書かれたこちらもお読みください。


池田信夫氏の京速批判 -- 牧野淳一郎
http://jun.artcompsci.org/articles/future_sc/note058.html#rdocsect63


もちろん、牧野さんはそのほかにもいろいろと大切なことをおっしゃっているので、こちらの目次ページをリンクしておきます。


スーパーコンピューティングの将来 -- 牧野淳一郎
http://jun.artcompsci.org/articles/future_sc/face.html#TOC