倉嶋厚さんの書かれた

ページを見つけました。倉嶋厚さん、いまの若い人はご存じないかな?以前、NHK の天気予報を担当されていたかたです。


あ、どうでもいいですが、私も若いですよ、と、一応主張しておきます。


忘れられない雨の話 -- 雨のゆくえ -- ミツカン水の文化センター
http://www.mizu.gr.jp/kikanshi/mizu_17/no17_b01.html


昔の天気予報は、よく外れました。外したときは、こちらも罪滅ぼしに濡れて帰りましたけれど。


なんか、ステキです。温暖化予測がはずれたときはどうするべきなのかな?


記事には、そのほかに、藤原咲平さんの気象予報士の心得が書いてありました。


ちなみに藤原咲平さんは戦前の気象学者、日本の天気予報の基礎を築かれた方、といってもいいとおもいます。東京帝国大学で博士号を取得後、学士院賞を受賞され、ヨーロッパに渡って当時最高の気象学者ビヤークネスに指示、日本に帰ってこられてからは、第五代中央気象台長 (今の気象庁長官にあたる役職だと思います) をつとめられました。戦時中に風船爆弾の研究をしていたため、公職追放にあい、戦後は在野で執筆活動にあたられたそうです。


気象学会に「藤原賞」という賞がありますが、これは、藤原咲平さんを記念して作られた賞です。あと、作家の新田次郎さんの叔父に当たる方です。


藤原咲平の「予報官の心掛け」】
1933年(昭和8)に書かれた以下の12点。自然を相手にするときの心構えとしても読め、その意味するところは深い。

1 学問の進歩を取り入れ、時世におくれないこと。

2 予報の不中の原因を探求すること。他人の予報も注意して、他山の石とすること。

3 判断力に影響するから、身体を健全にすること。

4 精神的の心配事も判断に影響するから、精神を健全にすること。

5 予報期間中は、他事にたずさわらぬこと。遊戯にこってはいけない。研究は当番以外の時に行うこと。

6 睡眠不足の時は、よい予報は出せない。

7 酒を飲んでいる間はかえって頭が明晰になったように感ずるが、それは実は妄想である。

8 自分の前に出した予報に引きずられないこと。

9 自分の力の範囲を確認し、その埒外に出ないこと。

10世間の気持ちを斟酌すべきだが、迎合してはならない。

11非常にまれな場合をねらって、予報に奇跡を願ってはならない。

12自分の発見した法則、前兆を買いかぶるな。

 (倉嶋厚『暮らしの気象学』草思社、1984より)


なるほどぉ。もう一カ所、


私が予報官のときに、二つの考え方を先輩から教わりました。一つは、「天気予報は地下室でやれ」。もう一つは「天気予報しようと思ったら、まず屋上に行け」。刻々と変わる空模様に気を取られていると大局を誤る、理論武装をしろというのが地下室派。屋上派のほうは、空を見ろ、現場を大切にしろ。


これもおもしろいですね。


12 点の心掛け、「地下室でやれ」、「屋上に行け」それぞれ含蓄のある言葉だと思います。ちなみに倉嶋さんは"屋上派"だったとのこと。


温暖化の予測と天気予報はだいぶ違うのですが、でも、参考にすることは可能だと思います。