いろいろと忙しく、しばらくご無沙汰しておりましたが、

コメントをもらったので久しぶりに記事を。


TSUNE さんから、こちらにコメントを頂きました。

http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20110920/1316516638#c1338551701

更新の滞っている過疎ブログに書き込んで頂き、ありがとうございます。こんなコメントでした。

気象学、気候学的に、大気中二酸化炭素が気候に影響を与えているという強い証拠があるのであれば、ぜひご教授いただきたいです。私は、気候変動のメカニズムについて、もうかれこれ5年ほど調べておりますが、いまだに、二酸化炭素温室効果を物理的に計測した実験結果を、見たことがありません。小中学校などで行われている稚拙な実験は、気体の比熱の違いが考慮されておりません。


せっかく書き込んで頂きましたが、TSUNE さんの問いに答えるのはいささか難しい。とりあえず二つほど書いてみましょうか。


回答1
二酸化炭素温室効果を物理的に計測した実験結果」であれば、二酸化炭素の赤外線吸収係数の計測があげられます。でも、計測の結果って、ウェブには意外に転がっていないんですよねぇ。教科書には載っているのですが。ざっとぐぐって見つけたのはたとえばこちら


Carbon Dioxide Absorption Spectroscopy near 6000 cm-1
http://www.chem.uni-wuppertal.de/quasaar/grenoble/files/perevalov.pdf


二酸化炭素が赤外線を吸収しているなら、地球の気温や大気の濃さなどの条件から、放射伝達論と熱力学の知識を用いると、温室効果があるということが導かれますので、これは事実上「二酸化炭素温室効果を物理的に計測した結果」です。


回答2
「気候学的」な「強い証拠」としては、現在の地球の平均気温が 14 ~ 15 ℃であって、大気が無いときに想定される -18 ℃ではないことです。ま、これは水蒸気の温室効果が一番大きく、その次に二酸化炭素、ということではありますが。


物理学のバックグラウンドを持つ気候学者にとって、以上の二つで十分に「大気中二酸化炭素が気候に影響を与えているという強い証拠」であり、もうほとんど自明のことではあります。


とはいえ、TSUNE さんが本当に聞きたかったことに答えられたかどうか…。


私には自信がありません。