Yahoo! 知恵袋についての雑感

先日、Yahoo! 知恵袋から私の記事をリンクしていただいたここさんよりコメントをいただきました。その返事、というより、なんか知恵袋への愚痴になってしまいますが、まあよろしかったら聞いて下さい。


Yahoo! 知恵袋の温暖化に関係する質問の特徴


温暖化に限らず、質問は二種類ある。一つは純粋な質問で、説明不要、知恵袋の本来想定された使い方。もう一つは、質問の形をとった主張。主張というより、同意を求めているという方が正しいか。*1


先の記事で取り上げた質問もそれだ。

何故マスゴミは未だに「温暖化=二酸化炭素」と吹聴してるのでしょうか? -- Yahoo! 知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1371060328


温暖化がわかりきったウソなのにマスコミが歪曲報道しているという立場が明快で、なんら迷いがない。


文章こそ質問だが、とぴをたてた人は、別に質問したいわけではない。ただ、答えを求めていないかというとそうでもない。自分の考えに合う答えだけを求めている。当然、ベストアンサーは懐疑論側。


このタイプの質問と回答、実は温暖化懐疑論者の「キャッキャウフフ」でしかない。


言論の自由があるので何を公言しようと自由だが、質問する場では純粋な質問だけにしておけ、これはマナーの問題だ、キャッキャウフフは mixi とかでやれといいたい。


ホテルの部屋ならふたりでどんな変態行為をしてもいいけど、道の真ん中でいちゃいちゃするのはやめてもらいたい、ということ。


周囲の誰かが「注意」すべきだ。


とはいえ、『注意』するのも不毛ではある。私も「注意」すべきだが、不やる気は起きない。知恵袋で懐疑論者を「注意」されている方々には、本当に頭が下がる。それに、後で書くが、「注意」は役に立っている。


知恵袋での議論


知恵袋は、温暖化 vs 懐疑論の議論に不適だ。というより、ウェブは一般的に議論に向いていない。


顔が見えないので容易に先鋭化し、合意を求めるより勝ち負けの争いになりがちだ。長い文章を書けないため内容で差別化できず、また、観客も詳しい解説よりもわかりやすく短い文章を求めがち。そこに論理のつけいる隙はない。声の大きさの勝負となり、勝敗は正しいことを述べた方ではなく、忙しい側があきらめたところで、暇な側が勝利宣言という流れになりがち。*2


と、かように議論には向いていないのである。


知恵袋に思うこと


以上のことを踏まえて、そして、私のこれまでの懐疑論ウォッチを踏まえて、Yahoo! 知恵袋懐疑論者に対峙するときに有効と考えられる一つの態度を書いてみたい。


それは、懐疑論者を敵だと思わないこと、ともに知識を深めていくための同士だと思うことである。


議論の勝ち負けに意味はないのだ。相手が勝利宣言をしたら、「良かったね」とほめてあげたい。そのどや顔が相手の志の程度を表しているのだと思えば、余裕を持って対応できるだろう。


同時に相手の言うことを理解する努力をしてみたい。たとえば、先の h…氏の場合であれば、チンダルの実験とは何か、文献を問う。チンダルの実験というものは多数あるのだから、議論をするには、そして相手の考えを理解するにはこの手の問いは欠かせない。簡単に答えられるはずなのだが、たまにそれさえ出来ない懐疑論者がいるのには驚かされる。


次に、なぜその実験が温暖化と関係するのか、問う。飽和がどうして地球大気の温暖化と結びついているのか、相手の考えを知る必要がある。一般的に懐疑論者は、気候学者たちが二酸化炭素のによる赤外線の吸収が原因と述べているからだとこちらに下駄を預けてくる。そうではなくて、彼らがどうして赤外線が吸収されたら温暖化になると考えているのか、頭の中にあるメカニズムを聞き出してみたい。


ポイントは、相手の揚げ足を取ろうとしないこと。相手の考えに興味を持つことが大切だ。


なぜか、懐疑論を唱える人たちは、こちらの真実を知りたいという気持ちをいやがる。自分はこちらの知らない事実を知っているのに、それを聞くと、教えることはせず、こちらの無知をあげつらう傾向がある。


懐疑論者は自らの考えを伝えることを避けたがる。不思議なことだが、それが懐疑論の限界を示しているとも言える。


最後に


onkimo は、知恵袋で温暖化懐疑論と対峙してくれている人たちに感謝の気持ちを抱いている。先にも書いたとおり、あのような知恵袋の使い方をしている人間には誰かが注意すべきで、その役割を果たしてくれているからである。


そのほかに、資料としての価値である。懐疑論関係のトピックについて Google で検索すると、知恵袋の回答が引っかかることが多い。そこからリンクされた資料には助けられることが多かった。


知恵袋の回答によって、懐疑論に対抗するトピックごとの資料の整理が行われているのである。あんまり他所で行われている作業ではなく、大変ありがたいことなのである。


知恵袋で懐疑論者を相手にするのはストレスがたまるいやな作業だと思うが、これからも出来る範囲で活動を続けていってほしい。勝ち負けなど気にせず、懐疑論を否定する資料をリンクしながら、懐疑論側の考えを明らかにしていく。


懐疑論者たちを納得させることは出来ない。だが、温暖化の知識の普及という点では役に立っている。


これからも継続して活動して頂けるよう、期待している。

*1:ちなみに、質問の形で自分の言いたいことを主張し、同意を求めるというやり方は、私の好きな「発言小町」でもよく見られます www

*2:ちなみに、ある意味究極の暇人は日がな一日そのことばっかり考えてればよい研究者で、ですからその土俵であるアカデミズムの世界では、彼らと戦っても勝てません www