また裁判かよ、とおもいました。
これです。
「安全デマ」を流す御用学者、原発関係者を東京地検に一斉告発 -- BLOGOS編集部 -- BLOGOS(ブロゴス)
http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/
いえ、正確に言うと裁判ではないんですがね。裁判所ではなく地検に、提訴ではなく告発、ということですから。
しかし、ひどいっすね。「安全デマ」を流したことによる「業務上過失致傷」で原子力安全委員会の学者さんや東電の上層部を軒並み告発でしょう?「未必の故意」とかで理論武装しているみたいだけど、どんなに優秀な検察官連れてきても、刑事事件として公判維持できませんよ。告発した当人も検察が受理するなんて思っていないでしょう。
タイトルに「また」と書いたのは、私の扱う温暖化に関して、反原発の研究者の槌田敦さんという方が以前裁判を起こされたからです。槌田さんが気象学会の学会誌「天気」に論文を投稿したところ、それが受理されなかったとして、気象学会を提訴されました。こちらでいろいろと書いています。
槌田氏のとほほな裁判 -- 気持ち^1
http://onkimo.blog95.fc2.com/?tag=%B5%AD%BB%F6%3A%C4%C8%C5%C4%BB%E1%A4%CE%BA%DB%C8%BD
裁判は最高裁まで行って結局槌田さんの全面敗訴に終わるのですが、槌田さんはその後も新たな裁判を二つ起こされており、現在も係争中です。
この槌田敦さんもまた、広瀬隆さんと同様、反原発で日本を引っ張ってこられた方なのです。*1
さて、今回の広瀬さんのなさったことの特徴は次の通り。
- 言論で勝負できることを司法の手続きに乗せた
- とはいえ、検察がまともに取り合うとは思えない
- ただ、そうであっても話題になるのはメリットが大きい
- 不受理でも、いや、不受理であればこそ、権力に対する聖戦が演出できる
これ、本当に槌田さんの裁判に似ています。槌田さんの裁判も、
- 論文を受理してもらえないので司法の手続きに乗せた
- とはいえ、まともに裁判で戦えるとは思えず、実際全面敗訴
- ただ、訴訟の時は新聞何紙かに取り上げられるという効果があった
- 敗訴したら、案の定裁判所批判、体制批判を展開。
てな感じでした。
司法に訴えるのって、それも、ありえないような無理筋の訴訟なり告発なりで訴えるのって、反原発の活動家のお家芸なんですかね?
これ、嫌がらせとしては超一流です。でも、脱原発のために良いことはありません。
だって、原発を止めたいのでしょう?それなら、本当に必要なのは、原発を止めるに足る権力を握ることです。
原発を止めるためには、そのための法案を通して、電力会社を説得し、代替エネルギーを確保して、国民が豊かに暮らせるようにしなければなりません。良心ある学者、識者を集めてグランドデザインをし、官僚に緻密な法案を書かせて、政治家を巻き込んで国会を通過させ、産業界を納得させ、国民に明るい将来を約束し、原子力以外のエネルギーを国際社会で確保し、場合によっては外圧で脱原発を進める必要がある。
とてもとても大きな仕事なのです。権力無くしてはできないような。
これまでにも、脱原発のチャンスはありました。でも、今、日本にはたくさんの原発がある。反原発の活動家の方には、スリーマイルやチェルノブイリでの盛り上がりがなぜ実を結ばなかったのか、きちんと反省して頂きたいと思います。
まあ、いいや、告発や提訴は誰にでも認められた権利ですから。
ただ、受理されなかったときに、検察を体制側として批判することだけはやめて頂きたいですね。
そんなもん、最初っからわかっていることだし。
そもそも、脱原発は「反体制」ではできない、反原発が体制側にならなければならない事業だし。
温暖化と絡めて書こうと思ったのですが、長くなったのでまた改めて。<2011/07/21 追記>
当然書くべきことを忘れていた…。広瀬さんも温暖化懐疑論者なんですよね、それもかなりメジャーな。
反原発と、特に陰謀論系反原発と、温暖化懐疑論は結びつきやすい。まあ、当たり前ですが。<2011/07/22 追記>
検察は、告発ならなんでも受理しなければならないのかな?wikipedia:告訴・告発
ということでしたら、不受理はありえなくて、捜査の結果、不起訴となると書くべきですね。すみません。
法律はよくわからん。もう少し飲み込めたらあとで訂正します。
*1:今回の騒ぎでほとんど目にしないのが哀しいのですが…。なお、槌田さんの温暖化懐疑論関係の活動については、そして、反原発関係の活動についても、支持者の方がこちらのページで精力的に情報発信をされています。ご存じない方は一度ご覧ください。
環境問題を考える
http://www.env01.net/