スケスケモデルについて

書きます。


アレルギーに関する表示: 数式
頭痛、吐き気などを催すことがありますので、数式嫌いの人は読まないでください。


スケスケモデルというのは、こちらで紹介したモデル (まだアップしていません。アップ後リンクを追加)。温室効果モデルで、一層かつ地球からの赤外線放射を全て吸収するモデルを「温暖化の気持ち」 (気持ち^1) のほうでは薄着モデルとして以前紹介しましたが、今度は一部をそのまま宇宙に逃がしてしまうモデルです。


地表の光が一部直接宇宙から見えてしまう、大気がスケスケのモデル。見えそで見えないスケスケモデル。


それでは、考えてみましょう。下のグラフを参考にしてください。\alpha=0.77の時の値が入っています。また、四捨五入の誤差のせいで数値が合いませんが、ご愛敬ということで。 <追記>e10go さんに修正箇所を指摘していただきました。ありがとうございました。図は差し替えています

太陽から入射する単位面積あたり*1の熱エネルギーを F_s、それが、雲などによって反射されます。反射される割合(反射能,アルベド) を A とすると、太陽から地表に入ってくる熱エネルギーは (1-A)F_s となるわけです。


一方で、地表が放つ放射を F_gとしましょう。このうち、大気に吸収される割合を \alphaとします。すると、そのまま宇宙に出て行く割合は1-\alpha となるわけですね。


大気は F_a の放射をそれぞれ上下に放つとします。このあたりは、薄着モデルと同じ。



地表の温度は上がったり下がったりしない。地表に入ってくる熱と出て行く熱は同じだとします。つまり、


(1-A)F_s+F_a=F_g (1)


大気も同様、入ってくる熱と出ていく熱は一緒。これは、


\alpha F_g=2 F_a (2)


これは簡単に解けて、


F_g=\frac{2}{2-\alpha}(1-A)F_{s}
F_a=\frac{\alpha}{2-\alpha}(1-A)F_s


てな具合になります。


地表が黒体だとすると、ステファン=ボルツマン定数 \sigma を用いて地表面からの赤外放射 F_g と地表の温度 T_g の間に F_g=\sigma T_g^4 という関係が成り立ちます。これから、地表の温度は


T_g=\left\{\frac{2(1-A)}{(2-\alpha)\sigma}F_{s}\right\}^{1/4}


となるわけです。


ちなみに、\alpha=0 の時は温室効果の無いモデル (気持ち^1 ではエビちゃんと称した) と、\alpha=1 では地表面放射を完全に吸収する一層大気温室効果モデル (気持ち^1 では薄着モデル) と、それぞれ一致します。


さらに、\alpha=0.77 の時、T_g=14.5^{\circ}\mbox{C} となり、地球の観測値とほぼ一致する答えがえられます。でも、だからといってその値を過度に重視しちゃだめだよ、と気持ち^1 の方で口を酸っぱくして言っています。


ということで、スケスケモデル、とってもセクシーな良い子です。よろしくお願いします。

*1:例によって以下では単位面積あたりは省略