日本学術会議が主催して
「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)問題の検証と今後の科学の課題」と題したシンポジウムが 4/30 に開かれました。私も以前ちょっとだけ記事を書いています。
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100419/1271677905
私は参加していません。どんなだったか、ウェブをさまよってみるのですが、この手の情報で信頼できるのは、やっぱり masudako さんのブログです。
IPCCに関する日本学術会議主催のシンポジウム (出席後の覚え書き) -- macroscope
http://d.hatena.ne.jp/masudako/20100502/1272792593
同時に masudako さんのこちらのコメントも
http://d.hatena.ne.jp/masudako/20100415/1271344226#c1272794762
ということで、この件は私の中ではおわったつもりだったのですが、どうも、twitter ではちょっとした騒ぎになっていたみたいですね。
ジャーナリストの岩上安身さんが、次のようなことをつぶやいておられたようです。
岩上安身氏 温暖化詐欺関連ツイートまとめ 〜日本学術会議 公開シンポジウム -- togetter
http://togetter.com/li/17859
こちらのブログ記事では、岩上さんのつぶやきから要点が抜き出されています。
地球温暖化論の科学的根拠はない?・ICPP(気候変動に関する政府間パネル)〜岩上安身つぶやき編集 -- 本のセンセのブログ
http://honnosense.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/icpp-3d66.html
さて、岩上さん、一連のつぶやきの最初で、見習い記者の報告として、
まず、クライメート事件 (onkimo 注:クライメイトゲート事件かな?) について。ICPP *1(気候変動に関する政府間パネル)から、漏洩した情報が、事実である、ということ。
とぶちかましています。そのほかにも、
IPCCの情報が嘘であり、科学的な根拠のないものだった、とする流出情報の中身を、今回の会議に出席した名だたる科学者は、みんな肯定したのだった。
とか、
温暖化している、と回答した学者はゼロ。
とか。また、マスコミ関係者の発言にも触れていて、
マスコミの代表として、日経新聞の記者が発言。温暖化でキャンペーンを張ってきた手前、すぐには否定する記事は出せない。今日の会議をきっかけにして、少しずつ紙面の論調を軌道修正してゆくだろうと。
読んでいただくとわかりますが、シンポジウムであたかも地球温暖化論が覆されたような、刺激的なつぶやきが並んでいます。
masudako さんの記事とイメージがだいぶ違いますね。
この togetter 記事のブクマにある、id:rdaneelolivaw の このイベント行かなかったけど、こんな印象与えるほどにひどかったのだろうか。
というコメントが、私の気持ちにぴったりです。
また、id:pc_nagomu さんのコメント、これ行ってきました。一連のツイートはもう捏造と言って良いレベル。異なった見解が乱舞する中、それらをみなが冷静に話し合わなければならない時期なのに、何故こうやって両者を煽りこじらせるようなことをするのか
も、まさにおっしゃるとおり。私もなにか裏の意図があるのかと邪推してしまいます。
togetter 記事のブクマ
http://b.hatena.ne.jp/entry/togetter.com/li/17859
とはいえ、ちょっと同情すべき点もないではないな、と思います。IPCC の実際や温暖化懐疑論のことについてなんの予備知識もなくこのシンポジウムに出席したら、このような印象を抱く可能性もあるかな、と。
たとえば、ヒマラヤの氷の話とかで、"IPCC の情報が嘘" であり、嘘だと言うことを "会議に出席した名だたる科学者は、みんな肯定した" というのは、事実関係だけ見れば、たぶん本当でしょう *2。そして、予備知識のない人間にとっては大変な驚きのはずです。
ニュースバリューがあると思ってしまうのも致し方ないか。だって、これまで、地球が温暖化するということをなんの疑いもなく受け入れていたのですよ、たぶん。ところが、IPCC の報告書には嘘が含まれていた。しかも、それを科学者たちが認めている。
IPCC のいうことなんて、信じられない、温暖化なんて、疑わしい!「すげー、パラダイムシフトだ」と、岩上さんは気づいてしまった!だから、特ダネだと思ってつぶやいたのでしょう。
もしそうなら、岩上さんは嘘を言っていたわけではないのでしょう。シンポジウムの雰囲気とは全く別に、岩上さんのアンテナに引っかかった発言を正直に抜き出した結果、あんなつぶやきが出てきたのだと思います。
まあ、「ちゃんと下調べしておけよ www」というタイプのお話かも知れません。つまり、ジャーナリストとしての能力、資質の問題ですね。とほほ。
それにしても、岩上さん、IPCC のレポートとか、読んだことあるのかな?政策決定者向け要約ぐらいは読んであることを願っています。
でも、大して読み込んでなさそう。たとえ温暖化懐疑論について御存知なくても、レポート自体についての知識があれば、今回取り上げられた問題の重要性がどの程度のものか、それなりに把握できるはずですから。
ジャーナリストとしての資質の問題か、隠された意図があったのか、どちらでしょうか。