「国債は買ってはいけない」という本が

あります。武田邦彦さんの本です。


国債は買ってはいけない!


ちなみに私は読んでいません。経済は門外漢なので、もし読んでも論評することは難しいでしょう。


ウェブにはいくつか書評、感想を書いているブログがありました。まず、好意的なものから。


国債買ってはいけない!』 -- 杉並区議会議員 太田哲二
http://ota-tetuji.jp/dokusyokansou6.html

お金の錯覚・誤解を取り除いたところで、最後は安心できるお金の儲け方に移る。お金のない人も一読の価値はある。


武田邦彦(2007.5)『国債買ってはいけない!』東洋経済新報社 -- 乙川乙彦の投資日記
http://otsu.seesaa.net/article/44575093.html

全体として、とてもわかりやすいと思いました。このように日本の現状を把握したとして、では、個人はどのように対処したらいいのかということを考えると、何ともやりきれない感じになります。逃げ道はなさそうです。世界がそうなっているのですから。
 マクロにものを見るために、おすすめできる本だと思います。


武田さんの本を読んで、目からウロコが落ちた、という感じの書評ですね。区会議員さんと、もう一人は個人投資家の方でしょうか。


一方、好意的でないものもいっぱい見つかります。


国債買ってはいけない! -- カウンターゲーム
http://toyop129.blog48.fc2.com/blog-entry-225.html

個人的な見解ですべての物事を語られるから話の内容に信憑性は皆無です。
だからと言ってすべてを批判するわけではありません。
NHKの受信料の話や一時期の企業が新興国に工場進出した影響(国内の空洞化・技術力低下)などと共感できます。
ただ全体を通すと読む価値はありません


国債買ってはいけない─誰でも儲かるお金の話 -- お金の本の書評
http://okane-book.blogspot.com/2009/09/blog-post.html

まあ、ひどい本でした。

著者は金融は門外漢なんですね。
知ったかぶりをすると、失敗すると言う例かな。


国債買ってはいけない!』 -- 高等遊民の備忘録
http://koutou-yumin.seesaa.net/article/107492726.html

結論としては、経済の本に見せかけて実は道徳の本だった、という評価が妥当ではないかと。
・額に汗して稼ぐのが正しい。
・ファンドはいかがわしい商売である。
・投機は「どろぼう」と紙一重である。
・自分の損得は考えずに他人に献身すべきである。
というような、著者の道徳的価値観の記述が随所にちりばめられていて、うんざりしました。

久々に、読んで損したと思った一冊でした。


間違いだらけの『国債買ってはいけない!』
http://www.news.janjan.jp/culture/0707/0707169146/1.php

友人には「古本屋に売ると誤解を再生産するので、くれぐれもチリ紙交換に出すように」と言っておいた。


うわっっ、ひどいひどい。皆さん、ばっさりと切り捨てています。私もこんな感じの強烈な書評を書いてみたいな。いつも気の抜けたことしか書けないので。


書評を読んで知ったこと、思ったこと。


一つは、武田さんって、誠実なんだなということ。国債をけなした武田さんが、この本の中で株の購入を勧めているそうです。批判的なコメントのブログ記事中でその理由が推測されています。どんな推測かは元のブログを読んでみてください。もしその推測が当たっているなら、武田さん、誠実です。「ある意味、誠実」ということですが。


もう一つは、コメントは二つに分かれるということ。一つは「目からウロコが落ちた」タイプ。もう一つは「これはひどい」タイプ。


「目からウロコが落ちた」タイプは、武田さんの本で勉強できた、というタイプです。一方で、「これはひどい」と書いている人たちは、金融の知識がある人、すくなくとも、知識があるという自信がある人たちとお見受けしました。


もっと他のタイプもあってもいいと思うのですが見あたりませんでした。何を言っているのか説明したいので、下の図を見てください。



縦軸に武田さん本の評価を、横軸に読んだ人の知識のレベルを書きました。「目からウロコが落ちた」タイプは 3 の位置に、「これはひどい」タイプは 2 の位置にあるわけです。1 と 4 が見あたりません。


1 がないのは何となくわかります。知識のない人が武田さん本を低く評価する。たぶん内容が飲み込めなかったのでしょう。だから、ここには「よくわからなかった」というコメントが入るはずですが、そんな書評、あんまり書きたくないですよね。


問題は 4 です。知識のある人が、知識のない人に受けの良い本に対して高評価を与える。ここには難しいことを「わかりやすく書けている」みたいな書評が入るのかな。


で、4 の、「わかりやすく書けている」タイプの論評が見あたりません。


4 のタイプが見あたらないのは地球温暖化関係でも同じなんですよね。2 と 3 しかない。武田さんの懐疑論本に高い評価を与える温暖化の科学に (興味はあるが) あまり知識のない人たちと、低い評価を与える専門家などの知識を持つ人たち。


で、国や企業から金もらっているとかの裏があるのだろう、誠実じゃない、と「目からウロコが落ちた」タイプの人たちが武田さんと一緒に「これはひどい」タイプの人たちを批判しているわけですが、まあそれはともかく。


少なくとも、温暖化問題、経済問題に関しては、武田さんは知識のある人たちから好意的な書評をもらえていないようです。他の分野、たとえば大麻本とかではどうなんですかね。


あと、個人的には懐疑論者の皆さん、たとえば丸山茂徳さんとか伊藤公紀さんとかが武田さんの温暖化本をどう評価しているのか知りたいところです。<追記>
タイトル間違っていました、とほほ。修正しました。


そういえば、武田さんと丸山さんに関しては、こんな共著がありましたね。読んでませんが。


「地球温暖化」論で日本人が殺される!