伊藤公紀さんの記事を書いている間に、

おもしろい懐疑論に出会いました。いえ、二年も前に話題になったものらしいので、今更なんですが。


GLOBAL WARMING: FORECASTS BY SCIENTISTS VERSUS SCIENTIFIC FORECASTS
http://www.forecastingprinciples.com/files/WarmAudit31.pdf
以下、Green and Armstrong (2007)


なかなかよいですね。こちらが掲載されているホームページも
(._.) φ メモメモ


Forcasting Principles -- Evidence based Forcasting
http://www.forecastingprinciples.com/index.php


内容ですが、IPCC のやっていることは、"予測科学"を、こんな点やあんな点やそんな…(中略)…点で逸脱している、というものでした。具体的には…。面倒くさいな、ここに書くの。まあ、論文を読んでくださいな。多くの人にとっては時間の無駄かもしれませんが、ある種の人にとっては実におもしろいと思います。


この論文、エネルギー資源学会の e-mail 討論で伊藤公紀さんが取り上げていました。


地球温暖化:その科学的真実を問う(2)
http://www.jser.gr.jp/activity/e-mail/2009.3/09.03honbun.pdf
p12


当然江守さんが反論されるわけですが、そのベースになるのがこの RealClimate 記事。


Green and Armstrong’s scientific forecast -- RealClimate
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2007/07/green-and-armstrongs-scientific-forecast/


Green and Armstrong (2007) は高尚な原則を掲げ、IPCC レポートはその水準に達していないと批判しているけど、自分達だってひといじゃん、というのが RealClimate の批判。


まあそこそこごもっともではあるのだけど (ごもっともじゃないことも含まれているけれども) 、Green と Armstrong の言うことを全部厳密に適用したら人類は何もできないよね、というのが私の感想。


たとえば次年度の国家予算なんか立案できないよね、あの人たちの意見をまじめに聞いていたら。まあ、温暖化の予測をさせない、というのも懐疑論側の作戦の一つなので、そういうことなのかもしれないですが。


ちなみに、この論文が掲載された雑誌、 Energy and Environment についての説明が Wikipedia に載っています。


Energy & Environment
http://en.wikipedia.org/wiki/Energy_&_Environment


Scopus (有名な論文データベース) によると学術誌ではなく業界誌に分類されていること、編集者が温暖化懐疑論論文を好んで載せていること、この雑誌に掲載された論文は懐疑的な政治家に引用されていること、などの説明があります。


で、ここからが本題、って、そこまで言うほどのものではないですが…。


これにインスパイアされた伊藤さん、e-mail 討論の記事では、観測値からシンプルな外挿をおこなった研究で、気候感度 (CO2 倍増時の温度上昇) を 0.6~1.8 度と推定した論文を紹介し、一方で複雑な GCM による気候感度が 1~2.5 度であることを指摘します。


そして、二つの値、大して変わらないじゃん、GCM の結果ばかり優先するのはコストパフォーマンス的にどうなの、というなんとも素敵な意見を述べておられます。


まあ、なんていうか、古来の観天望気 (夕焼けなら明日は晴れ、など) でもそれなりに根拠があって明日の天気がある程度わかるのに、なんで観測ネットワーク作ったり衛星あげたりスパコンを使ったりしてまで天気予報する必要あるの?と言われている感じですね。


もちろん江守さんは GCM などの高級な予測手法の必要性を述べてこたえます。そして、Green and Armstrong (2007) を批判します。


それに答えて伊藤さん曰く、本当は 800 ページの教科書を読む必要があって私も充分に理解しているわけではないが、Green や Armstrong の言うことについては次の第5次報告書に書く必要があるのではないだろうか。



よくわかっていないのに、
おすすめなのかよ!!!


是非、教科書を読んで理解して、改めて何を盛り込めばよいか提案して頂きたいものです。


そもそも、伊藤さん、Green and Armstrong (2007) はちゃんと読んだのかな?