ということで昨日に続いて

今日もゴミ記事です。


北極の「海氷」が解けてどのくらい海面が上昇するか?


なお、以下の議論はかなりいい加減なので、最終的にある答えが出てきますが、その値ぴったりではなく、上下に、数倍/数分の一ずれる可能性があります。


そんな計算、意味があるの?あると思うかないと思うかは人によると思いますが、まあ、私には意味がありました。ちょっと楽しかったから。


さて、それでは考えてみましょう。


まず、海氷がどのくらいの厚さがあるのかを考えてみましょう。Wikipedia によると、北極の氷は平均 3~4 m、厚いいところでは20 m に達するとのこと。へぇ。Wikipedia の海氷

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B0%B7

から。


近年の氷の減少で、平均の厚さは変わっているかもしれませんね。厚いとされる多年氷 (何度も夏を解けずに乗り越えてきた氷) が減って、一年氷 (前の冬に海水が凍ってできた氷) ができているらしいので。


まあ、いいや。氷の厚さは平均して 3m としておきましょう。いや、めんどくさいから氷が押しのける海水の量を厚さに換算したら、3 m になった、としておきます。


押しのけられた海水の重さはどのくらいでしょう?海水の、一立方メートルあたりの質量、つまり、海水の密度はどのくらいか、というと、0 ℃、塩分濃度 3.4 % の海水で、約 1027 kg。


ちなみに、この密度の値は UNESCO が 1981 年?だったかな?ころにまとめた海水の状態方程式を使いました。最新ではないのだけど、まあいいでしょう。式は、たとえばこちらのページを見ていただければいいかと思います。
http://www.littlewaves.info/marine/wq_density.htm


でも、この式、少々古いのかもしれませんね。その辺の事情については、こちらの hiroichi さんのページを参考になさってください。

2010年1月から塩分の定義が変わる! -- 海洋学研究者の日常
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/8027131.html

まあ、このいい加減な推論には UNESCO で十分すぎると思います。


一方、海水が解けてできた水の密度は?海氷に含まれる塩分の量は、だいたい 0.5 ~ 1 % です。


ここで、あれれ、と思った人がいるかもしれません。水が凍るときに塩分が追い出されるので、氷にはほとんど塩分が含まれていないのでは?


その通り。ですが、海の氷というものはけっこうすかすかの構造をしていて、氷の隙間に、氷から追い出された塩がとっても濃くなった塩水の形でたまっています (これをブラインといいます)。先ほどの塩分は、これを含んだ値です。


さて、元に戻って、海氷が解けてできた水の密度は、温度 0 ℃、塩分 1% として、だいたい 1008 kg。


ここでまたもやあれれと思った人がいるかもしれません。塩分 1 % ということは、1 立方メートルの水、約 1000 kg に 10 kg の塩が溶けていると言うこと。だから 1010 kg / 立方メートルのはず。あとの 2 kg はどこに行ったの?


まあ、温度の関係があるかもしれないけど、それじゃ、3.4 % の海水と 1 % の海水の密度差は?3.4 % の海水には立方メートルあたり 24 kg 余計に塩分が含まれているはずなのに、どうして 19 kg しか違わないの?


ごもっとも。実は、水に塩が溶けると、水の体積が少しだけ大きくなります。そんな変化、普段は気づかないのですが。でも、そのせいで、密度の変化としては、加えた塩の重さよりも小さな値を取ることになるのです。だいたい八掛けぐらいしてもらえばいいでしょう。


ということで、話を元に戻すと、海水と海氷が解けててできた水の密度にはだいたい 2 % くらいの差があるわけです。ということは、同じ重さにするには海水よりも 2 % くらい体積が大きくなる、ということで、3 m の水をおしのけていた氷は、解けると 3 m の 2 % 増し、だいたい 3 m 6 cm の厚さになるということです。


つまり、6 cm ほど海面が上昇する。


もちろん、これは解けた氷がその場所から動かなかった場合。地球全体での海面上昇を求めるには、6 cm 分の上昇を地球の海洋全部に振り分ける必要があるので、それを考えてみましょう。


海氷の面積は?こちらによると、今日 (9/28) 現在、5,524,375 平方キロメートルだそうです。

北極圏研究 海氷面積情報
http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/seaice/extent.htm


海全体の面積は約 3 億 6000 万 km2 なので、6 cm の海面上昇を全海洋に広げると、


6 cm * 500 万平方キロ / 3 億 6000 万平方キロ ~ 1 mm 弱


ということになりますね。だから、北極の海氷の融解による海面上昇、やっぱり気にすることはないですね。


まあ、本当はいつかは解けた水というのは海水と混ざってしまうので、その効果も考えないといけません。でも、それを考えたことによってこの値が何倍も変化することはないのじゃないかな?


まとめると、北極の氷が解けても海面が上昇しない、というのは、厳密に言えば間違っています。1 mm 弱ぐらいは変わりそう。もちろん、かなりいい加減な推算なので、大きくこの値は変わりそうです。でも、これが 1 cm になったりはしないんじゃないかな。


1mm、どう思われますか?小さいですね。でも、計算する前はもっと小さな値になる気がしていたので、意外に大きかった、というのが私の感想です。


もちろん、温暖化対策を考える上で、北極の海氷が解けることによる海面上昇を考慮する必要はないと思います。


でも…。グリーンランドは忘れないでくださいね。