「温暖化懐疑論のまとめ」という

記事が一年前に池田信夫さんのブログに出ていました。


温暖化懐疑論のまとめ -- 池田信夫 blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/37540a91ce3aa7fedb0ab8ef6f0d640f


まあ、以前も読んでいましたが、あらためて読んで、感想をメモ。


まず、池田さんは、温暖化懐疑論を 5 個に分類していますが、だからどうなんだ、というのがわかりません。どれも全部正しいと思っているのでしょうか?


丸山さん、赤祖父さん、槌田さん、全員が正しい、っていうのはおもしろいですね。一致しているのは「温暖化しない」ということだけだとおもいます。


僕には、地球温暖化に対して懐疑的であれば何でも OK みたいな感じにとれました。まあ、枯れ木も山の賑わい、ってことなのでしょう。どれが枯れ木かは…。


WMO(世界気象機関)も、今年に入って地球の平均気温が下がっていることを認めたが、これは「ラニーニャによる一時的な現象」だとしている。しかしオーストラリア天文学会の論文によれば、これは太陽活動の低下による20年周期の寒冷化の始まりだ。


一年後の後出しじゃんけんで考えてみると、


世界の1月平均気温の平年差の経年変化(1891〜2009年)
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/jan_wld.html


去年よりは温度が上がっているみたいですね。そのほかの月も、2008 年より 2009 年の方が温度が高いことが多いみたい。ま、「エルニーニョ」の影響、というのが多分正解だとおもいます。


この図を見たら、今年は池田さん、温暖化論者になるのかな?まあ、2002 年や 2007 年よりも低いと強弁できそうですが。


地球温暖化は、第一義的には経済問題である。地球上には解決すべき問題が山ほどあり、温暖化が最優先だという根拠はない。100年後の気温が3℃上がる(かもしれない)問題と、毎年1000万人以上が感染症や水汚染で死亡している問題と、どっちが緊急課題かは、経済学の知識がなくてもわかるだろう。


「第一義には経済問題」には、ちょっと異議があります。たぶん、経済よりも上位の「政治問題」であるかと。お金のことだけではなく、もっと、倫理や道徳なども含んだ、そして当然自然科学も含んだ、人類最高のアートとしての政治問題かな、と。でも、これについてはまあよいとしましょう。


で、池田さんは経済学者。別に、自然科学系の懐疑論を取り上げる必要は無いような気がします。せっかくだから、3 ℃上昇を前提として、「それでもかまわんだろ」と言い放てばいいんじゃないかなぁ。わざわざ槌田さんとかを取り上げなくても。


そして、

懐疑的な意見は、自然科学では多数説ではないが、経済学ではNordhausやMankiwの意見が圧倒的な多数説である。この費用便益分析は、IPCCの結論を前提にして行なわれているので、IPCCの結果が正しいとしても、京都議定書の実施に1兆ドル以上かける政策は正当化できない。


だそうです。


いつも不思議に思うんですが、もし懐疑的な意見が圧倒的な多数説であるなら、なぜ IPCC のレポートに反映されないのでしょう?温暖化の対策というのは、当然経済学も含まれていて、 IPCC で議論されているわけです。


どうして (池田さんの言う) 経済学者の圧倒的多数は IPCC から排除されてしまうんですかね?これをふくらませれば、陰謀論が書けそうな気がします。だれかやらないかな???


もうあるのかもしれませんね。ご存じの方、教えてください。


それにしても、池田さんのブログ、楽しいですね。経済学の部分についてはすばらしいことを書かれているのでしょうが、自然科学の部分に触れているところを読むと、思わずほほえんでしまいます。


丸山さんの本とか、本当に読んだのかな?読んだ上であの本に信頼を置けるのは、ある意味すごいと思います。


なお、この記事はこちらの記事の続編として書かれているようです。


地球と一緒に頭も冷やせ! -- 池田信夫 blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/323d1d4d89497a7fbd763f9a1699770d