ブックマークしたのでこちらにも。

花粉症も地球温暖化も「ムダな抵抗はしない」が正しい -- 日経ビジネス on Line
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090818/202779/


有名な生物学者福岡伸一さんへのインタビューです。福岡さんの「生命と火生命の間」生物と無生物のあいだ」(タイトルを思い切り間違えてしまいました。失礼しました)は、いろいろな刺激があって僕にはおもしろい本でした。ちょっと演出過剰な感じがしましたが、変なブログを書いている私が言うことではないですね。


最近、「動的平衡」という本を書かれたようで、それに関連してこのインタビューが行われたようです。


最初は花粉症の話から入られて、抗ヒスタミン剤の効果と、その効果が薄れていく過程を示した上で、

局所で効率を上げると得をした気分になるかもしれません。しかしその結果が、全体に悪い影響を及ぼすこともあります。機械論的な観点は物事の本質的な解決にかならずしもつながりません。

と述べています。そして、

――では、動的平衡の考えでは、例えば花粉症に対し、どういう答えを用意しているのでしょうか?

福岡:「騙しだまし付き合うしかない」ということになりますね。動的平衡は明確な回答を与えません。じたばたしても駄目だと教えてくれます。


ということだそうです。じたばたするな、と。


インタビュアーは環境問題についても質問しています。

――科学的な計測で得たデータを根拠に環境問題に取り組む姿勢が当たり前とされていますが、その発想に欠けているのは何だと思いますか?

それにたいして福岡さんは、やはり“流れを止めない”という観点でしょう。現在、二酸化炭素の増大が問題になっていますが、と、温暖化問題を取り上げておられます。生物学の方にも、やっぱり環境問題と言われたときに温暖化を取り上げられたりするんですね。


いまの問題は、炭素の循環の一形態が二酸化炭素という状態に留まり過ぎていることです。ただ、その状態が温暖化をもたらしているかどうかわかりません。もたらしていないかもしれない。

 でも、確実なのは、循環の滞りが動的平衡に歪みをもたらしていることです。その状態が続くと、とんでもない事態に陥るのは間違いないでしょう。


だそうです。福岡さん、温暖化については懐疑的なようですね…。でも、とりあえず、今の状況がまずい、という認識は持たれているようです。そして、CO2 の排出を減らすために、できるだけ化石燃料を燃やさないこと、生態系への吸収を促すために、植林や海洋環境の保全をすること、と対応策を示しておられます。


一方で、CO2 の地中への隔離などの対策は、動的平衡にとってよくないことが多いそうです。


この記事、うなずけることも多いのですが、動的平衡、という単語で全てを料理されるのは違和感を感じました。動的平衡って、イメージの広がる言葉ですよね。広がりすぎてまずい気がします。


抗ヒスタミン剤の話についてはとくに異議はないのですが、温暖化の話としては、どうでしょうか?地球が温暖化するかしないか、という点についてはあまり問題ではなく、動的平衡にゆがみをもたらしていることこそが、問題だとのこと。


なぜ動的平衡がそんなに大切なのか、私自身には明らかではありませんでした。まあ、本を読め、ということなのでしょうが。


同様の言葉に、エントロピーがあります。環境問題をイメージの広がりすぎる言葉で語られると、議論がグダグダになることが多いので、私としてはちょっと…。今後、動的平衡も環境問題で使われるようになってくるのでしょうか?


でも、どんな問題でも料理できる魔法の言葉であることは確かなので、便利なら使ってみようかなと、ちょっと思ったりしています。


って、よく読んだら福岡さん、記事の最後でエントロピーを使われてましたね。あらら。まあ、動的平衡、みたいな熱力学イメージの言葉からエントロピーが出てくるのは当たり前なのかもしれません。


振り返って考えてみると、「温暖化」もイメージの広い言葉なのかも知れませんね。