八月の「朝まで生テレビ」の

温暖化討論に出演された江守正多さんが、日経エコロミーに記事を書かれてました。


朝まで生テレビ!」の「温暖化 vs 寒冷化」討論(09/10/26) -- 日経エコロミー
http://eco.nikkei.co.jp/column/emori_seita/article.aspx?id=MMECza000022102009


江守さんが、明日香壽川さんと組んで、丸山茂徳さん、武田邦彦さんと議論した番組です。


この「朝まで生テレビ」については、この日記でも取り上げました。私自身は見ていなかったので、ウェブ上の評判を調べる形で。

http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20090831/1251690233
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20090901/1251798308
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20090902/1251859896


さて、江守さんの記事を見てみましょう。


まず、司会の田原さんについて。


 司会のお馴染み田原総一朗さんは、武田さんと丸山さんの共著本(『「地球温暖化」論で日本人が殺される!』)の解説を書いています(田原さんは「私は科学的に何が正しいかわからないが、世の中が全員で一方方向に進むのは危険な気がする」といった趣旨の、ある意味無難な解説をされていました)。そのせいかわかりませんが、前回僕が同番組に出たときに比べると、田原さんがいわゆる「懐疑論」にやや同調的だった感じがしました。


なるほどぉ。これについては、田原さん自身がこのような記事を書いていらっしゃいます。


取引材料にされた 環境問題と小氷河期説 -- nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090806/173067/


個人的には、赤祖父さん説に引きずられているのかな、という気がします。いえ、そこまでの定見を持っていなくて、ただバランスを取るために懐疑論に同調しているのかもしれませんが。


で、江守さんは懐疑論を二つに分類します。


よく、懐疑論を擁護する発言として「科学には懐疑が不可欠だ」といわれますが、本当に擁護されるべきは「健全な懐疑」であり、「不健全な懐疑」ではないはずです。


健全な懐疑とは科学者が当然持つべきものであり、不健全な懐疑とは過去の地検を踏まえず、もしくは無視、曲解することによってなりたつものであるとのこと。


で、不健全な懐疑を見破るためには、原典に当たることだと述べ、そして丸山さんの持論について、解説されています。


まあ、丸山さんの論を不健全な懐疑論だと思っていらっしゃる、ということですね。


そして、丸山さんが著書でよく示す、温暖化懐疑の基礎となるグラフを出して、それに対して原典に当たると本当はこうなっている、丸山さんの言うことは原典からは読み取れないよ、と述べていらっしゃいます。


丸山さんへの反論は、まったくもっておっしゃるとおり、私が付け加えることはありません。


江守さんは以前にも丸山さんと議論されたことがありました。この議論については、以前、私のブログ本体に書きましたのでよろしければごらんあれ。

丸山茂徳さん、がんばって! -- 温暖化の気持ち
http://onkimo.blog95.fc2.com/?tag=%B5%AD%BB%F6%3A%B4%DD%BB%B3%CC%D0%C6%C1%A4%B5%A4%F3%A4%AC%A4%F3%A4%D0%A4%C3%A4%C6


今回の江守さんの記事は、丸山さんに対する勝利宣言に思えます。私自身は番組自体を見ていないのでよくわからないのですが、ウェブ上の評判を見てみると、どうも江守さん快勝だったようで、まあ妥当なのかな、と思います。


一介の研究者である私から見た江守さんのすごいところは、この一文に出ています。


まあ、テレビの出し物ですので、こんなもんでしょう。


テレビ番組、朝生というフォーマットを熟知して戦ってらっしゃる。カメラの前での限られた時間、司会者や議論の相手に不規則に割り込まれる状況で、何を言って何を言わないかを見分ける。要点で相手を刺しつつ、攻めすぎない。「こんなもの」と割り切る。

そんな能力は、一般的な科学者には必ずしも備わっているわけではありません。これまでのマスメディア経験で培われてきたのでしょう。


さすがです。


さて。丸山さん、反論どこかに書かないかなぁ。楽しみ。