今度は意識して

finalvent さんの記事をリンクしますよ!
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20090808/1249685503


まあ、そんな気合いを入れる必要もないのではあるが。
(…と思っていたら、finalvent さん、記事で取り上げてくださいました。ありがとうございます。気合いを入れていて良かったです。)


トラバ、飛んでいったかな?前回はリンクが自動的にトラバになることをうっかり忘れていたので。


さて、記事中、

天気図を見ると梅雨のそれではないが微妙に夏の天気図とも違うような。太平洋側高気圧が弱いのはエルニーニョで偏西風が南下したせいらしい。嘘とも思わないし、温暖化で冷夏があるのも不思議ではないが、話としては今一つ説得力はない。エルニーニョがつねにそうなるということでもないだろうし。とはいえ、暑い=温暖化、みたいなアホーな話を中和するにはよいかもしれない。

アホーな話の中和には全く同意。


エルニーニョですが、"エルニーニョがつねにそうなるということでもないだろうし。" というのは、意外に説明がややこしい。


気象学でメジャーなある解析手法を用いると、エルニーニョが起きると"常に"日本を冷夏にする方向に働き、それが他の現象と足しあわされて、より冷たい夏になったり、大して冷夏にならなかったり、となります。日本の冷夏は、エルニーニョの構成要素の一部。太平洋高気圧が弱いとか、その辺も全部「エルニーニョ」なのです。


こんな言い方をすると一般の人から「ペルー沖の水温が高くなることがエルニーニョだろ!」怒られると思いますが。


さて、なぜエルニーニョが冷夏の原因となるのか、というより、なぜ「エルニーニョ」にまつわる様々な現象がセットで発生するのか、はちゃんと考える必要があって、finalvent さんの聞いたことは、その文章による説明としては、普通のもの。


もっと細かく煩雑な説明をすることも可能だけど、でも、基本は「風が吹いたら桶屋が儲かる」式のもので、読んだ人の理解が増すかどうかは疑問。いずれにせよ、文章で読むだけでは、説得力なし、と感じる人は多いでしょう。もちろん、理解してくれる人もいると思う。


説得力を上げるには、高校あたりで気象、気候のことを詳しく教えて"国民の常識"にしてしまう他ないと思うけど、それは無理。


ということで、この記事も「説得力はない」わけでした。

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ついでに前回まちがって finalvent さんにトラバを送ってしまった記事に関連して。
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20090803/1249269612


田原総一朗さんが、小氷河期温暖化懐疑論を取り上げていました。

取引材料にされた 環境問題と小氷河期説 | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090806/173067/

実はラクイラ・サミットでは、もう一つ足並みの乱れが生じていた。
 今、科学者たちの中からこんな話が出てきている。地球全体の気温が上がるどころか、これから小氷河期に入ろうとしているという説がある。

なんとなく、懐疑論の流れが変わりつつある気がします。私の印象では、これまでの知識人の間での`はやり'は、ロンボルグ経由のスベンスマルク説(太陽活動のせいで銀河宇宙線の量が減り雲が減り温暖化、要は CO2 ではなく太陽活動で温暖化)に見えたのだけど、小氷期論が取り上げられることが増えつつあるみたい。


これはなぜだろう。小氷期論を唱えているのは赤祖父さんだけと言ってもいいので、例の本が原因かな?

例の本に関する finalvent さんの記事
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2009/03/post-1f8d.html

一応、私の前回記事も(再掲)
http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20090803/1249269612


しかし、あの本がでたのは 2 年前なので、そうはおもえない。もしかしたら、「エネルギー・資源学会」の e-mail 討論のせい?

エネルギー・資源学会(右に e-mail 討論が)
http://www.jser.gr.jp/

これを含んだ私の記事
http://onkimo.blog95.fc2.com/blog-entry-55.html


この e-mail 討論、一部で「4 対 1 で懐疑論の勝ち」と評されていることがあって笑えるけど、でも、マスコミに何度か取り上げられていて、その中で赤祖父さんの懐疑論が紹介され、説得力を感じた人も多いと思います。


田原さんが耳にしたのもこれかも知れませn。


まあ、赤祖父さんの知名度は海外でも高いので、田原さんがサミットに同行して小氷期論を知ったのであれば、e-mail 討論は無関係かもしれません。私にはそうは思えないのですが…。


なお、古気候学者のメインストリームが最近になって小氷期を重要視しはじめた、という話は全く聞かないので、IPCC が意見を変えることはなさそう。


氷期論が懐疑論業界でどのように流行していくかについて、今後もウォッチしていこう。